かんとくのこべや【第21話】
2021年12月6日
早いもので、今年も12月となりました。
今年こそは少し華やかな年末年始をと期待されていたかと思いますが・・・難しそうですね。私も漏れなくその一人です。
本日は、先月11月18日に日本サッカー協会でも策定された【セーフガーディング】について触れてみたと思います。
ちなみに、この言葉を耳にしたことはありますでしょうか?
特にイギリスでは、私達のような子どもに関わる職につく人間にとっては、必ず遵守しなければいけないもので、個人的には指導者ライセンス以上に大切なものです。
簡単に説明すると、『子どもの安心と安全や権利を担保する為に必要なこと』が詰まったものになります。
より細かく説明するには、このこべやでは狭すぎますので割愛しますが、
・活動場所
・公平性の担保
・虐待防止
など、その範囲は非常に幅広いものになります。
少し例に挙げて考えてみましょう
【条件】
・気温6℃の風雨が強い状況での公式戦、且つ水たまりがあるピッチでの小学3年生の試合
【考えられる対応】
1,公式戦の為、チームの公式ユニホームである半袖半ズボンで試合を行う。
2,公式戦だが、寒さ対策の為上下長袖長ズボン着用で、ビブスを着て試合を行う。
3,試合を適する環境にない為、試合中止とする。
この場合、セーフガーディングとして最適な行動は3であり、やってはいけない行動は1です。
なぜこうなるかは、子どもが安心して安全に活動出来るかどうかの基準で見定めることが前提である為、気候条件とピッチ状況を考えた結果になります。その為、公式戦だからとはいえ1のような服装で挑むことは、子どもの健康や気持ちを阻害すると予想される条件が多分に含まれているので、適しないのです。
では、こちらはどうでしょうか?
【状況】
・炎天下での子どもの試合や練習または遊びの時に、子どもに一切水を飲ませない管理者の大人がいた。
【考えられる対応】
1,その人に注意を促し、子どもに水を飲ませる。
2,管理者所属団体がある場合は、そこに通報する。
3,公共の関係機関もしくは警察に通報する。
この場合でいきますと、状況によっては全ての対応を目撃者として行う必要があります。何故ならこれは、虐待の事案と認定されるからです。そもそも、炎天下で好ましくないであろう活動を行っている時点で、セーフガーディングに違反していると考えることも出来ますが、こちらに関しては非常に懸念される事項になりますので、必然的に公的機関も巻き込んでいく必要があります。
例えば、セーフガーディングを管理監督する役職として、専門の講習を受けた「ウェルフェア―オフィサー」を必ずチームに一人は行わなければいけないのですが、その際にも強く教わった事があります。
それは子どもを守る為に「密告する」ことです。
では、なぜこのセーフガーディングが大切なのか。
子どもも一人のヒトであるということ、そしてその子の成長の為に、子どもの安心や安全を担保していくのは我々大人の当たり前の役目であり責任であるということです。
さら言えば大人でもそうですが、命や自分の健康、生活が担保される状況でない限り、そうそうそこで行動を起こすことは出来ません。
セーフガーディングで守るものや世界は、未来へと繋がります。
何の不安もない環境で思いっきり自分のしたい事に打ち込める子と、日々誰かに嫌な事もされたり言われ、周りを伺いながらこそこそとやりたい事をやることと、どっちの子が伸びるかは明白だと思います。
私達指導者もそうですが、子どもに関わる際にこのセーフガーディングの考えを知る知らないでは子どもの成長に大きく関わってきますし、日頃の子育てや育児に関しても間違いなくそうだと思います。
是非皆様も下記、リンクを先情報を見ながら理解に努めて頂きければ幸いです。
よりよいサッカー環境の構築の為、皆様一人ひとりのお力添えを何卒宜しくお願い致します。
水野嘉輝
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