かんとくのこべや【第18話】
2021年10月15日
英国を語る上では外せない天気。
比較的に落ち着いた天候で、ピッチコンディションは良好です。ただ今月末のサマータイム終了に向けて、日増しに早くなる日没時間が、どこか寂しさを助長させるとともに、厳しく、逞しさを要求されるフットボールシーズンの本格到来に、身が引き締まる思いです。
というわけで、今一度少しフットボールについて考えてみたいと思います。
フットボールはこんなスポーツだ!
・団体競技
・相手がいる
・主に足を使う
・ボールを運ぶ方向に制限がない
・プレーの時間は基本的に止まらない
この5点をもう少し掘り下げます。
・団体競技
→各々の行動が周囲に影響を与えるため、自己責任の範疇では済まないことがある。
・相手がいる
→自分の意思決定に強く影響を与える存在が常にいる。
・主に足を使う
→手先に比べて不器用な部分を活用してプレーする。
・ボールを運ぶ方向に制限がない
→目的の場所へのルートと方法は無限大。
・プレーの時間は基本的に止まらない
→全体で集まって思考を纏める時間がほぼないに等しい。
これだけの要素をみてどう思いますか?
サッカーに関わって30年程経った僕の感想としては、なんとまあ難題を突き付けられたスポーツなんだとあらためて思いました。
折角なんで、新たなチャレンジ、新たな視点で(かなり無理やり)例えてみます。
『己の心技体を集結させた、11人の仲間の協力がなければ決して辿りつかない物語。猛獣のいる原生林を越えて、山の頂にある秘宝に辿り着くことは出来るのか。』
サッカーがスリリングなアドベンチャー物語に変化しました。(無理やりさせました。)
フットボールは、自由度がかなり高いスポーツです。
フットボールの意思決定は、ボールを持つ人しか出来ません。
いろいろな要素があるなかで、シュートも、ドリブルも、パスも、トラップも、全てはボールに直接的に効力を発揮出来る、たった一人の判断に、それを実行する決断や勇気により、ゲームを動かしていくスポーツです。
であるならば僕達が出来ることはただ一つ。
その場と空間を作り、与え、日頃からその状況下のプレーを行っていく事です。
「戻れ!」
「シュートしろ!」
「クリア!外に出せ」
「〇〇くんにパスだ!」
・・・などなど、判断に関わる声を出せば出すほど、選手の冒険の物語は魅力を失っていきます。僕達コーチが発する言葉にも似たように聞こえるものはあるかもしれません。でもそこには必ず何かしらのチームとしての意図があるのです。
『己の心技体を集結させた、11人の仲間の協力がなければ決して辿りつかない物語。猛獣のいる原生林を越えて、山の頂にある秘宝にどのチームよりも早く辿り着くことは出来るのか。』
↓
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『己の心技体が操られた、11人の意思のない人達の物語。猛獣のいる原生林だから秘宝への道は金網で守られた一本道をお進み下さい。既に秘宝は皆様の為に予約済みです。その道中、過程をお楽しみ下さい。』
心からドキドキするような、世界中が泣くような物語は、どちらから生まれると思いますか?
フットボールが世界中で熱狂の渦を巻き起こすのも、きっとこういった要素があるからでしょう。
今週末も、
主演:子ども
助演:応援者(保護者)
裏方:コーチ
による最高の物語に出会える事を楽しみにしております。
水野嘉輝
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