かんとくのこべや【第6話】

2020年12月15日

気温もぐっと下がり、緑の芝生は緩く頑張る子ども達を泥で称え、夕方16時を過ぎる頃には真っ暗です。ロンドンは一年で一番厳しい時期となっております。僕が風邪の気配を一ミリを見せないことに驚きを隠せない人達が、周囲に出始めています。このご時世の緊張感でしょうか、僕のパワーアップでしょうか、それともマスクの力でしょうか。

 

そんな中、今月2日よりイングランドのロックダウンが解除され、子ども達のサッカーの活動も再開となり、そんな厳しい環境においても、みんなとサッカーが出来ることが何よりも楽しいようで、笑顔に溢れ一生懸命にプレーをする姿は、私にとっても同様に嬉しいものでした。ただ、明日からロンドンは再度行動制限が強化され、一番厳しいレベルとなります。それでも、子ども達のサッカーに関しての活動制限はありません。コロナウィルスの脅威が隣り合わせですが、サッカーの力が子ども達にこの時代を生き抜く勇気や力になる事と願っております。

 

 

ロックダウンの約一か月間、オンラインでの活動では子ども達とともに様々な活動に取り組みました。サッカーのボールタッチ、身体を鍛える、身体を動かす、サッカーを知る、そして私の幼少期を知る・・・(←僕の母の写真も見せました。笑)。

 

学校や習い事の関係、ご家庭のIT環境の都合等もあり、残念ながら参加が出来ない子もいましたが、本当に多くの子がそれぞれの目的にや興味に応じてオンラインの活動に参加してくれました。

 

このオンラインの活動は、3月末の初回ロックダウン後に行われて以来となりますが、驚かされたのは子ども達の対応力。オンラインアプリの使い方はもちろんの事、活動中の関わり方やアイコンを使ってのリアクション、画面を移せない時はチャットを使用してコミュニケーションを図るなど、こちらが何も言わなくても自分達で行動していました。

 

では子ども達は、どのようにしてオンラインでの活動の仕方やツール(Zoom)の使い方を学んだのか。

 

いろいろなきっかけはあると思います。今回のLJJでのオンラインでの活動も含めた習い事の場や友達との交流、ご家族の方々が使用されているのを、ご家族であーでもないこーでもないと言いながら、一緒に使っていく中で理解を深めたり、実際のオンライン活動の場で知ったりした子がほとんどだと思います。恐らくですが、使い方をオンラインレッスンが始まる前に、わざわざ専門家から集中講義を受けて学びましたなんて人は、ごくごく稀だと思います。

 

人が物事を学び、新しく始めるのは、必要に迫られているか自分がそれに興味があるかのどちらかだと思います。ただ子ども、特に低年齢であればあるほど、それは『興味がある』という要素が強まります。

 

これは何?

どうやって使うの?

どんなことが出来るの?

使えるようになったら何が出来るの?

 

こういった小さな興味や好奇心がきっかけとなって新しい世界や物事に触れ、その面白みや楽しさであったり、難しいことが理解できたり解決できた時の嬉しさが、また次もやりたいや、もっと知りたいに繋がっていくと思います。

 

 

話をサッカーに置き換えてもそうだと思います。

 

練習や試合、もちろん遊びを通じてそのようなことを味わっていき、それが競技の面でも上達に繋がると思います。僕達コーチは、そのサイクルを上手に回せるように手助けしてくのが役目だと思っています。そしてそうやって身に付けていったものは、大人が外付けで与え教えたものより、断然その子自身の身になります。

 

不思議なもので、僕自身の指導はLJJに来た当初が一番細かかったように思います。そこから比べると今はかなりの大枠の中で、子ども達に自由な枠組みを設定した練習だと思います。にもかかわらず、子ども達の上達や理解が以前よりも早くなってきたように感じるのは、きっと子ども達が自分自身の興味関心を育んだり、自分と向き合える時間や場所が練習の中でも確保出来たからではないかと振り返っています。

 

教える>助ける>任せるから、

 

任せる>教える>助けるへ。

 

子ども達の可能性を信じ、自主性を伸ばしていけるような指導を今後も磨いていきたいなと思います。十分いい歳になってきてますが、まだまだ若い者(子ども達)には負けてられません。指導を通じてこんなサッカーがあるんだ、こんな世界が見えるだってものを、すごいと思ってもらえるようなものを示してあげたいなと思います。

 

 

水野嘉輝

 

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